Serena MCP:詳細な使用ガイド(インストール、設定、実践)

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Serena MCP:詳細な使用ガイド(インストール、設定、実践)

Serena MCP強力なオープンソース AI コーディングエージェントツールキット であり、MCP サーバー として動作します。

これは Language Server Protocol (LSP) に基づく シンボルレベルの理解 を提供し、従来のテキスト検索ベース(例:RAG)の AI プログラミングツールが複雑なコードベースを扱う際の欠点を補います。

Serena MCP のユニークな点は、Claude Desktop アプリケーションを通じて無料で利用可能 であり、無料プランでも動作するため、API コストを回避できることです。

このチュートリアルでは、Serena MCP のインストール、設定、そして Claude Code Serena を含むさまざまなクライアントでの利用方法を詳しく解説します。


1. 環境準備とサーバー起動

Serena MCP は Python 環境に依存しており、uv ツールの使用が推奨されます。

1.1 前提条件:uv のインストール

Serena MCP のコマンドライン操作はすべて uv によって実行されるため、まずインストールしてください。

1.2 Serena MCP サーバーの起動

Serena MCP は MCP サーバー として起動する必要があります。通常、クライアント(例:Claude Desktop)はサブプロセスとしてこれを起動し、標準入出力(stdio)を通じて通信します。

uvx を使ったクイックスタート(推奨)

リポジトリをローカルにクローンせずに、uvx を使って最新の Serena MCP を直接実行できます:

uvx --from git+https://github.com/oraios/serena serena start-mcp-server

ローカルインストールと実行

  1. リポジトリをクローン:

    git clone https://github.com/oraios/serena && cd serena

  2. サーバーを起動:

    uv run serena start-mcp-server

  3. インストールディレクトリ外から実行する場合はディレクトリを指定:

    uv run --directory /abs/path/to/serena serena start-mcp-server

Docker を利用(実験的)

Docker はローカルに言語サーバーをインストールせずに、より良い隔離環境と一貫性を提供します。プロジェクトディレクトリをコンテナにマウントしてください:

docker run --rm -i --network host -v /path/to/your/projects:/workspaces/projects ghcr.io/oraios/serena:latest serena start-mcp-server --transport stdio

ダッシュボードとログ

デフォルトで、Serena MCP は Web ダッシュボード(通常は http://localhost:24282/dashboard/index.html)を起動し、ログの表示や MCP サーバーの停止(クライアント終了後のゾンビプロセス防止)を可能にします。


2. クライアント設定(システム別統合)

Serena MCP は Model Context Protocol (MCP) をサポートするすべてのクライアントと統合できます。

2.1 Claude Desktop (Windows/macOS)

これは Serena MCP を無料で利用する最良の方法 です。Claude の無料プランでも利用できます。

  1. Claude Desktop を開き、File / Settings / Developer / MCP Servers / Edit Config を選択。

  2. claude_desktop_config.json が開くので、mcpServers に Serena MCP を追加します:

    uvx を使用した例:

    {
      "mcpServers": {
        "serena": {
          "command": "/abs/path/to/uvx",
          "args": [
            "--from",
            "git+https://github.com/oraios/serena",
            "serena",
            "start-mcp-server"
          ]
        }
      }
    }
    
    
  3. 保存後、Claude Desktop を完全終了して再起動してください。

  4. トラブルシューティング: Claude が Serena MCP を認識してもツールを呼び出さない場合、FileSystemMCP を無効にしてください(ツール名の競合が原因となることがあります)。

Windows WSL2 統合

Windows 上で Claude Desktop を実行し、Serena MCP を WSL2 (Ubuntu) 内にインストールしている場合、コマンドに wsl.exe -d Ubuntu を付けて実行してください。

2.2 Codex (OpenAI CLI)

Codex は MCP を完全にサポートしていないため、特別なコンテキストが必要です。

  1. ~/.codex/config.toml に次を追加(ファイルが存在しない場合は作成):

    [ mcp_servers . serena ]
    command = "uvx"
    args = [ "--from", "git+https://github.com/oraios/serena", "serena", "start-mcp-server", "--context", "codex" ]
    
    

    注意: --context codex を必ず指定してください。

  2. 起動後にプロジェクトを有効化: Codex はグローバル設定のため、明示的にプロジェクトを有効化する必要があります:

    "Activate the current dir as project using serena"

  3. トラブルシューティング: Codex ではツール実行が成功しても failed と表示されることがあります(既知のバグ)。

2.3 Claude Code Serena(CLI 統合)

プロジェクトディレクトリ内で、次のコマンドを使用して Claude Code Serena を追加できます:

claude mcp add serena -- uvx --from git+https://github.com/oraios/serena serena start-mcp-server --context ide-assistant --project $(pwd)

これにより Claude Code Serena のワークフロー内で直接 Serena MCP が利用可能となり、シンボルレベルの編集やプロジェクト管理がシームレスに行えます。

2.4 その他の MCP クライアント (Cursor, Cline, Roo-Code, Windsurf)

Serena MCP は MCP サーバーとして動作するため、MCP 対応クライアント(IDE 拡張や VSCode ライクな IDE)と統合できます。

  • 推奨: -context ide-assistantargs に必ず指定してください。
  • コスト注意: これらのクライアントで Serena MCP を利用する場合、選択した LLM の API 料金 が発生します。

2.5 ローカル GUI とその他の LLM (Agno, OpenWebUI)

Serena MCP は Claude に限定されません。Agno, OpenWebUI, Jan などと組み合わせ、Geminiローカルモデル(Ollama/LM Studio) と統合できます。

  • 非 Claude クライアントの場合、API Key が必要になるため追加コストが発生します。

3. 実際の利用とワークフロー

Serena MCP はファイル読み込みやテキスト検索ではなく、find_symbol(シンボル検索)や insert_after_symbol(シンボル後挿入)といった IDE レベルのツールを提供します。

3.1 プロジェクトの有効化とインデックス作成

Serena MCP のツールを使う前に、LLM にどのプロジェクトを扱うか知らせる必要があります。

  • プロジェクト有効化:

    "Activate the project /path/to/my_project"

  • 単一プロジェクト制限: Serena MCP は現時点で 1 つのプロジェクトのみ を処理可能です。

  • インデックス作成: 大規模プロジェクトでは、インデックス化によりツール実行を高速化できます:

    uvx --from git+https://github.com/oraios/serena serena project index
    
    

3.2 初回利用:オンボーディングとメモリ

Serena MCP には独自のメモリシステムがあります。

  • オンボーディング: 初回実行時、Serena MCP はプロジェクト構造・重要情報・ビジネスロジックを解析し、結果を .serena/memories/ ディレクトリに メモリファイル として保存します。
  • メモリ利用: その後のセッションでは、LLM がこれらのファイルを選択的に読み込み、より正確なコンテキスト理解を実現します。
  • オンボーディング回避: .serena/memories/ にダミーファイルを作成すればスキップ可能です。

3.3 コーディング、編集、自律エージェント動作

Serena MCP は高度なワークフローをサポートします。

  • シンボルレベル編集: 正確な編集には replace_symbol_body を使用。
  • 自動修正(エージェントループ): execute_shell_command を有効化すると(Claude Desktop や Claude Code Serena ではデフォルト)、Serena MCP はコード実行・テストを行い 自律的にエラー修正 を行います。
  • セキュリティ注意: 任意のコマンドを実行できるため、パラメータは必ず確認してください。分析のみの場合、read_only: true を設定してください。

3.4 コンテキスト超過の回避

長いタスクやコンテキスト上限に近づいた場合、新しい会話で継続するのが最適です。

  • prepare_for_new_conversation: 現在の状態を要約しメモリに保存する専用ツールがあります。新しいセッションでこれを読み込めば、途切れなく続行可能です。

3.5 コンテキストとモードのカスタマイズ

Serena MCP の挙動は コンテキスト(Contexts)モード(Modes) によって調整できます。

  • コンテキスト: 起動時に設定。例:desktop-app(デフォルト)、agent(自律型)、ide-assistant(IDE 統合用、Claude Code Serena と好相性)。
  • モード: タスク種類に応じて動的に切替可能(例:planningeditingone-shot)。switch_modes ツールで切替できます。
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